日本は活火山が110もある火山列島であり、地震がよく起こります。
例えば、地震がよく起こる東京に住んでいる人は「震度」ということばには慣れていて、多くの人が地震を体感したら「あ、これは震度3くらいだな」とわかります。しかし、地震に慣れていない外国人から「マグニチュード」と「震度」のちがいを聞かれることがあります。
☆1 Magnitude
「Magnitude(大きさ)」というのは、1935年アメリカのリヒター(Richter)が作ったRichter Scale (logarithmic)といわれるもので、「地震そのものの大きさ、威力」を表すものです。
Magnitude 1 を 約480gのTNT火薬を爆発させた大きさと決め、以下
Magnitude 2 は M1の約31.6倍の大きさ
M3 は M2 〃
M4は M3 〃
M5は M4 〃
M6は M5 〃
M7は M6 〃
M8は M7 〃
M9は M8 〃 と決めました。 (TNTは Trinitron toluene のこと)
M3はM1の1000倍の大きさになります。M9は、約4億トンのTNT火薬の爆発力になるそうです。
2011年の東日本大地震は最大級のM9だったと言われています。
M8以上は世界で年1回くらい・・・?
☆2 震度
「震度」は、日本の気象庁が1949年に決めたもので、「そこの場所での揺れの体感」なので、震源地に近いほど大きく、遠く離れると小さくなります。
初めは、大体の感じ方で決めていたのですが、1996年4月からは機械で計るようになりました。参考のため、1996年以前の感じ方の基準を表すと、例えば
震度1 かすかに揺れがわかる程度
震度2 少し揺れた感じ
震度3 窓がカタカタ音がする
震度4 グラグラ揺れて、棚から物が落ちる
震度5 タンスや本棚が倒れる・石壁が崩れる
震度6 立っていられない・木造家屋が崩れる
震度7 山崩れが起こる・コンクリートの建物が壊れる
といった感じのものでした。
2011年の東日本大地震の時、東北地方では震度7の所もありました。東京は大体震度5で、家の中では本棚やタンスが倒れ、車が通る舗装道路が大波のように波打ちました。その後、道路がまた元に戻ったところが凄い。
☆3 どうして地震が起こる?
地球の表面は、厚さ20~100kmの地殻「プレート」で覆われています。
その下の地球の内部は、中心に6000度もの熱でドロドロに溶けている中心核「コア」があり、その周りに岩石のような「マントル」があります。マントルは中心核の熱によって温められると軽くなって浮き上がり、冷やされると重くなって沈み、対流のようにゆっくり動いています。それに引きずられ表面の地殻プレートも少しずつ動いているのです。
地球表面の地殻プレートは約12に分かれていますが、日本は近くに4つものプレートの境目がある大変珍しい場所です。
「太平洋プレート」が1年に数センチメートルの速さでハワイの方から日本の方に向かって進んで来て、日本の東側で大陸プレートの下に沈みこんでおり、時々はじけて地震が起こります。
南からは「フィリピン海プレート」も迫ってきており、北側には「北アメリカプレート」もあります。それらが複雑な構造で微妙に動いているので、地殻が不安定でひずみが生じやすく地震が起こりやすい所なのです。
☆4 もうすぐ大きな地震が来るぞ、来るぞ・・・!
と言われていますが、今までの主な大地震は
2016年 熊本阿蘇地震 M7
2011年 東日本大地震 大津波 M9
1995年 阪神・淡路大地震 M7
1923年 関東大地震 M7.9
1894年 明治東京地震 M7.0
1855年 安政江戸地震 黒船来航で世の中騒然の時
1783年 浅間山の噴火
1782年 天明小田原地震
1703年 元禄大地震 M8.2 赤穂浪士の討ち入りの翌年
・ ・ ・ などです。
歴史ドラマの中でもよく地震のシーンが出てきます。
1596年秀吉が伏見に城を建てていた最中に大地震に見舞われ、建築中の城が崩れたというシーンが大河ドラマ「真田丸」(2016)の中でもありました。この「慶長の大地震」と呼ばれる地震は京阪地方から四国・九州にかけて広範囲に襲い、京都では2万人以上の人が死亡。九州の別府湾にあった瓜生島は大津波に襲われ海底に沈み、今は日本のアトランティスと呼ばれているそうです。
日本は地震が起こりやすい場所にあり、いつの時代も地震に何とか対処してきました。これからも何とかしていかなければなりません。
ひとことで言うと
「マグニチュード」は地震そのものの威力で、「震度」はそれぞれの場所で感じる体感。
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『望星』 2022年4月号 「地震予知はどこまでできるのか」 長尾年恭 東海大学海洋研究所 より