外国人学生が「おいしいなケーキ」「きれい花」「あたらしいの仕事」と言ったら、どのように説明して直しますか?
☆1 外来語の取り入れ方
日本語は、もともとの日本語「やまとことば」と、後に中国語から取り入れた「漢字語」といわれるものの両方をうまく併用して表現を豊かにしてきました。(*1)
外国語を取り入れる方法として、原語(もとのことば)を、形としては「名詞のようなもの」として考え、
動詞なら 「~する」をつけて 「運動する」「提案する」「計画する」
英語では 「プレーする」「プロポーズする」
形容詞なら 「~な」をつけて「安全な運転」「正確な数」
英語では 「クリーンな選挙」「ファッショナブルな服装」
副詞なら 「~に」をつけて 「安全に運転する」「正確に数える」
名詞なら 「で」「だ」「です」をつけて 「安全で速い」「正確だ」「計画です」
このようにして 日本語は外国語をうまく取り入れてきました。
こうすれば、わりあい簡単に、便利に、外国語を取り入れることができたのです。
☆2 「なにで名詞」
外国語を日本語に取り入れる時の工夫のうち
「~な」をつければ 形容詞になり 「安全な運転」
「~に」をつければ 副詞になり 「安全に運転する」
「~で」をつければ 名詞になり 「安全で速い」 この3つを合わせて、「安全な」の「安全」の部分を「名詞」として考え、新宿日本語学校では、外国人学習者に構造の形からわかりやすいように「なにで名詞」という名前が考案されました。
( 日本語文法では、「安全な」「正確な」「綺麗な」などは、どのように扱ってよいのかわからなかったので、従来の国語文法では「形容動詞」と表現したり、外国人用日本語文法では「な形容詞」と呼ばれてきたものです。)
☆3 やまとことばの「形容詞」と漢字語の「なにで名詞」
・「やまとことば」の 形容詞は「美しい花」のように 名詞に直接かかります (「あかるい」のように「い」で終わるので「い形容詞」とも呼ばれています)
・「漢字語」のなにで名詞は 「安全な運転」のように「安全」の部分を「名詞」として扱い、 名詞+名詞 は できないので なにで名詞+な+名詞にします (「な形容詞」とも呼ばれているものです)
「安全」の部分を名詞と考える、というところが重要で
◎ 動詞グループ ( 語尾が活用するもので 動詞 や 形容詞 )と
◎ 名詞グループ ( 活用しないもので 名詞 や なにで名詞 )に分けて考えると、「なにで名詞」は「名詞グループ」になります
☆4 動詞グループと名詞グループ 名詞にかかる場合
◎ 動詞グループ + 名詞 の場合は 名詞に直接かかります
・動詞 + 名詞 「聞いた話」 「あした行く所」
・「やまとことば」の形容詞 +名詞 「うつくしい花」「高い山」「あかるい未来」
◎ 名詞グループ + 名詞 の場合は
・名詞+の+名詞 「友達の家」のように やまとことばの名詞は直接名詞に かかることはできないので「の」が必要です
・「漢字語」のなにで名詞+な+名詞 「安全な運転」「正確な数」「綺麗な」
(「きれいな花」の「きれい」は「い」がついているので紛らわしいのですが、「綺麗」は「漢字語」の名詞部分なので 「~な」をつけます)
♡ なにで名詞は ほとんどが漢字語ですが、やまとことばにも なにで名詞があります。 「おだやかな流れ」「かろやかなステップ」「おおらかな性格」「好きな人」など。
もともと「おだやかな」などの語があったので、 漢字語を取り入れる時に その 「~な」を利用したと思われます
☆5 まちがえやすい「~から」「~だから」
これも外国人が間違えやすいところですが、動詞グループと名詞グループに分けて考えてみると、以下のようになります。
◎ 動詞グループ ・動詞 + から 「もう見たから、わかりました」
・「やまとことば」の形容詞+ から 「きたないから掃除します」
◎ 名詞グループ ・名詞+だ+から 「プロだから上手なはずです」
・「漢字語」のなにで名詞+だ+から 「きれいだからいつでも住めます」
「動詞から」「名詞だから」と口で唱えて覚えておきます。そして、「なにで名詞」は「名詞グループ」です。
ひとことで言うと
「うつくしい」は「やまとことば」の形容詞で名詞に直接かかりますが、「綺麗な」は「漢字語」の なにで名詞なので、「な」をつけて「綺麗な花」になります。
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*1 「やまとことば」と「漢字語」については『25.「お受験」という言葉はなぜおかしい? ≪「やまとことば」と「漢字語」≫ 参照


